牛丼チェーン大手のすき家で、再びワンオペ勤務問題が浮上している。2022年にワンオペ勤務中の従業員が死亡する痛ましい事故が発生し、社会に大きな衝撃を与えたにも関わらず、現場では依然として過酷な労働環境が続いているという。
ある顧客が、早朝にすき家を訪れたところ、店内に従業員がいるにも関わらず店が閉まっていたという。後日、本部へ問い合わせたところ、勤務予定だった従業員が急病のため欠勤となり、ワンオペ勤務を避けるために一時閉店にしたとの回答を受けた。しかし、店外にその旨を告げる張り紙などは一切なかった。
この出来事を受け、ネット上では「貼り紙くらい貼って事情を説明すべきだ」という声の一方で、「ワンオペ禁止の徹底ぶりに驚いた」という声も上がっている。
問題の背景
すき家のワンオペ問題が社会的に大きな注目を集めたのは2014年。深夜のワンオペ勤務をはじめとする従業員の過酷な労働実態が発覚し、全国で一時閉店する店舗が相次いだ。ゼンショーホールディングス(すき家の親会社)は、12年度以降、労働基準監督署から64通もの是正勧告書を受け取っていたことが第三者委員会の調査で明らかになっている。
死亡事故後の対策は?
2022年の死亡事故を受け、すき家は「ワイヤレス非常ボタン」の配備や防犯カメラの設置など、安全対策を強化したと発表していた。しかし、現場の従業員からは「ボタンを押す余裕がない」「防犯カメラだけでは不十分」といった声が上がっている。
ゼンショーホールディングスの回答
ゼンショーホールディングスは、深夜0時から翌9時までは複数勤務体制を確立していると説明する一方で、それ以外の時間帯については入客数に応じて1人勤務体制を取る場合もあると認めた。
専門家の見解
外食業界の専門家は、人手不足が深刻な現状では、深夜から早朝の時間帯に2人体制を維持するのは困難であると指摘する。しかし、深夜や早朝に働く人々にとって、食事を提供できる場所を確保することは社会的に重要な役割であり、24時間営業の是非については今後も議論が続くと予想される。
まとめ
すき家のワンオペ問題はいまだ解決しておらず、従業員の安全と労働環境の改善が求められている。企業は、単に形式的な対策を講じるだけでなく、現場の声に耳を傾け、真摯に問題と向き合う必要がある。