吹田市の放課後デイサービス施設で中学生が送迎中に死亡、職員の裁判で遺族が涙の訴え
大阪府吹田市にある放課後等デイサービス施設で、送迎中の安全管理の怠慢が原因で男子中学生が死亡した事件に関する裁判が進行しています。2022年、この施設の職員である宇津雅美被告(66)は、利用者であった清水悠生さん(当時13歳)の送迎時に不適切な対応を行い、清水さんが死亡した事件で起訴されています。
裁判では遺族が「施設は命を預かるという意識が低すぎる」と涙ながらに訴えました。清水さんは突然走り出す行動が過去にも見られたため、職員2人での対応がルールとして定められていましたが、事件当日は運転手1人での送迎が行われ、結果的に清水さんが行方不明となり、その後川で遺体が発見されるという悲劇に繋がりました。
検察側は、施設が清水さんの特性を十分に把握しながらも基本的な注意義務を怠り、重大な過失があったと指摘。さらに、被害者が死亡する直前の身体的苦痛や、遺族の心痛は計り知れないものであると述べています。求刑は懲役1年10か月。裁判は2024年12月23日に判決が言い渡される予定です。
宇津被告の起訴内容は、既に本人によって認められています。さらに、この施設では他にも問題があり、代表者で宇津被告の兄も利用者に暴行を加えた罪で有罪判決を受けています。昨年2月以降に繰り返された暴行について、大阪地裁は懲役1年2か月、執行猶予3年の判決を言い渡しており、施設の運営体制全体に深刻な問題があることが明らかになっています。この一連の問題により、命を預かる施設としての責任感の欠如が社会から厳しく非難されています。
現在進行中の裁判は、今後の放課後等デイサービス施設における安全管理体制の改善に向けた重要な試金石となるでしょう。多くの利用者や家族にとって、このような施設は信頼が命綱となる場であり、その責任を果たすべき立場の人間が基本的な義務を怠ったことは重大な問題です。施設を選ぶ際の基準や、運営者の質の重要性が改めて問われています。