訪日客の爆買い復活、スポーツブランドが牽引する心斎橋の変貌
大阪・心斎橋が、再び活気を取り戻している。コロナ禍で一度は停滞した商業地が、今や国内屈指の集客力を誇る街へと変貌を遂げているのだ。特に目立つのは、人気スポーツブランドの旗艦店が続々と進出していること。その背景には、訪日外国人客の増加と、健康志向の高まりがある。
空室率0%、テナント争奪戦が過熱
心斎橋筋商店街では、テナントが退去する前に次のテナントが決まるという、まさに「売り手市場」の状態。空室率は、コロナ禍の20%超からわずか4年で0%にまで回復した。不動産サービスのCBREによると、一つの物件に複数の入居申し込みが殺到するなど、貸し手優位の状況が続いているという。
スポーツブランドが牽引、ルルレモンやニューバランスが旗艦店をオープン
この急回復を牽引しているのが、スポーツブランドだ。コロナ禍を経て、健康意識が高まり、スポーツ用品の需要が拡大している。カナダのスポーツアパレルブランド「ルルレモン」は、心斎橋に国内最大級の旗艦店をオープン。ヨガやランニングウェアだけでなく、日常使いできる衣料品も充実させ、幅広い層の顧客を取り込んでいる。
米ニューバランスも、心斎橋筋商店街に西日本最大級の店舗をオープン。訪日外国人客の売り上げが6割を占めると見込んでおり、大阪・関西万博を見据え、さらなる成長を目指している。
リユースやドラッグストアも好調、一方でファッションは苦戦
スポーツブランドだけでなく、中古ブランド店など「リユース」も増加。アパレルの大量廃棄が社会問題化する中、持続可能な消費への関心の高まりが背景にある。また、コロナ前に「爆買い」需要で拡大していたドラッグストアも、依然として人気を集めている。
一方で、靴下や下着など、低価格を売りにするブランドの退店が目立ち、「ファッション」カテゴリー全体の店舗数は減少している。
心斎橋の未来、そして課題
心斎橋は、訪日外国人客の増加と、健康志向の高まりという二つの追い風を受けて、再び活気を取り戻しつつある。しかし、その一方で、空室率の低下による賃料の高騰や、多様なテナントのバランスなど、新たな課題も浮上している。
心斎橋が、これからも国内外から注目される商業地であり続けるためには、これらの課題を克服し、より魅力的な街へと進化していくことが求められる。