脱毛サロン「アリシアクリニック」運営法人が破産
医療脱毛クリニック「アリシアクリニック」を全国展開していた医療法人社団美実会(みじつかい)と関連法人の一般社団法人八桜会が、東京地方裁判所から自己破産手続きの開始決定を受けたと帝国データバンクが10日に発表しました。この2法人の負債総額は約124億7133万円で、債権者数はおよそ9万1818人に上ります。
美実会は、俳優を起用した大規模な広告キャンペーンを展開し、医療脱毛市場で一定の知名度を築きました。2021年4月期には売上高163億1540万円を記録しましたが、コロナ禍による集客減少や業界内競争の激化が影響し、2023年4月期には7539万円の最終赤字を計上しました。一方、関連法人の八桜会は「じぶんクリニック」を約20店舗展開し、2023年7月には店舗名を「アリシアクリニック」に変更していました。
前払い施術代の返金が困難に
今回の破産により、施術代を現金で前払いしていた顧客は未施術分の返金が困難であると発表されています。公式ウェブサイトでは「極めて難しい状況」と説明されており、現在事業を停止しているため、今後施術を受けることはできません。また、クレジットカードを利用していた場合については、クレジットカード会社との契約に基づいて対応が進められるため、カード会社への直接の問い合わせが推奨されています。
エム・シーネットワークスジャパンの影響
美実会と八桜会は、全国的に脱毛クリニックを運営していた「銀座カラー」の運営会社エム・シーネットワークスジャパンのグループ法人として事業を展開していました。しかし、2022年11月頃に同グループを離脱しています。その後も経営状況は好転せず、今回の破産に至りました。
なお、「銀座カラー」も2022年12月に破産手続きに入り、債権者数は約10万人に達していました。このような業界全体の困難な状況が続いていることがうかがえます。
脱毛業界の現状
脱毛クリニック業界は、コロナ禍での集客減少や顧客の消費行動の変化、さらに大手同業者との競争激化に直面しています。広告費用や人件費など固定費の増加が負担となり、多くの企業が経営の維持に苦戦している現状です。今回の破産は、その象徴的な事例といえます。