自動運転バスの実証実験に不具合発生、安全性優先で一時中断
三田市で実施中の自動運転バス実証実験が、システムの不具合を受けて一時中断されました。この実験は2020年度から始まり、少子高齢化やドライバー不足が深刻化する中、地域公共交通を維持する新たな取り組みとして注目されています。不具合が発生したのは11月25日の昼便で、路上駐車を回避し停留所に停車する際、進入角度が急すぎたため運転手が手動で操作を補正。安全性を最優先に考慮した結果、翌日26日から実験が中断されました。12月18日まで予定されていた実験の再開時期は未定で、市が計画していた乗車体験会も中止となりましたが、応募者68人から見て市民の関心は高まっています。
安全性重視で再検証、「グレーな運行」を回避
市交通政策課は「グレーな状態で運行を続けるよりも、事例を積み上げて確認することが重要」と述べ、今後の運行再開に向けた安全検証を強調しました。今回の不具合は重大な事故に繋がるものではありませんでしたが、同課の田中課長は「自動運転バスの実用化に向けたプロセスの一部」と位置づけています。市はこの技術を用いた公共交通の未来に期待を寄せ、特定条件下で運転手が不要となる「レベル4」の運行を2025年度に目指しています。
実証実験の成果と課題、未来への期待
これまでの実証実験では「レベル2」と呼ばれるシステムが一部の運転操作を担う形で進められており、昨年度の延べ810人に続き、今年度は11月22日までに684人が利用しました。これにより、技術的課題と市民ニーズの両面で多くのデータが収集されています。一方で、全国的に自動運転技術が注目を集める中、大型バスの実用化は依然として課題が多く、安全性の確保、採算性の検討、責任の所在など多岐にわたる問題を克服する必要があります。
日本初「レベル4」の実現に向けた取り組み
自動運転技術の中でも特に注目される「レベル4」は、2025年に大阪・関西万博での導入が予定されている未来の技術です。小型車両では実用化が進んでいる一方、中型以上のバスでは安全性の面での課題が浮き彫りになっています。昨年10月には福井県永平寺町で「レベル4」の車両による接触事故が発生したこともあり、慎重な検証が求められています。三田市もこれらの課題を乗り越え、全国のモデルケースとなることを目指しています。
市民の関心と安全への責任
今回中止となった乗車体験会には、定員の20人を大きく上回る68人の応募があり、市民の関心が高まっていることが伺えます。一方で、システムの信頼性を高めるためには、安全性を徹底的に検証するプロセスが不可欠です。三田市は自動運転バスの先駆的な取り組みに自負を持ちながら、市民が安心して利用できる公共交通の実現を目指しています。