新聞販売員の仕事は営業・配達・集金の3つである
新聞販売店で働いていた時のお話です。新聞販売店の仕事はどこに行っても「営業・配達・集金」の3業務は同じである。営業とは顧客の新規開拓【新勧】、現読者の継続契約【止め押し】、過去の読者をもう一度契約してもらう【起こし】である。
給料は基本給に加えて読者を獲得した歩合が加算されるため、必死に自分担当区域をグルグル回り営業する。担当区域の読者数がその区域を配達するアルバイトの給料になるため、減れば文句が来る。なので販売員だけでなく、外部から「新聞拡張団」というヤクザまがいの営業マンも雇っていた。
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配達はその名の通り契約者の自宅に一軒一軒配達する。雨の日も雪の日も毎日休むことなく配達する。新聞配達は一人で配るため気が楽な部分があるが、反面1日も休めないといったデメリットがある。
そして、一番大事なのが「新聞代の集金」である。いくら契約が取れても、新聞代を回収しないと販売店はやっていけない。集金は新聞販売店の正社員が自分の担当する区域を任されていた。しかし、中には悪い正社員もいた。
集金に熱心な一人の新聞販売店の正社員がいた。
その人は当時48歳の新聞販売店勤務10年目の大ベテランの矢部さん(仮名)という。販売店の区域(エリア)を完全に把握し、営業も同じ場所を10年以上担当しているせいか読者から絶大な信用を得ていた。
営業に行くと「矢部さんがいうなら新聞を取ろうか」といとも簡単に契約を取っていた。性格は良くはなかったが仕事に関しては超一流だったので尊敬はしていた。しかし、その矢部さんがあんなことをやらかすとは・・・
集金した新聞代をギャンブルに使っていた!
月末になると販売店から現読者の領収書の束を受け取り、翌月10日までにすべて集金を終え販売店に納めなければならない。銀行引き落としをしている人も多かったが、集金に来てもらったほうがノベルティグッズや洗剤などもらえるので現金払いの方がほとんどだった。
朝刊、夕刊を配り、昼間は翌日のチラシを組んでいく作業があり、その後集金となると気が重くてなかなか集金が進まない。しかし、矢部さんだけは深夜遅くまで集金に駆けずり回っていた。「見習わなければいけないなぁ」と常々思っていたが、その理由が判明した。
集金した新聞代の現金をパチンコ・競馬に使っていたのである!もともとギャンブルが大好きで借金のせいで離婚も経験している。しかし、性格は治らず仕事の合間をぬってはギャンブルにいそしんでいた。給料だけでは足らず、ついには販売店に納める新聞代まで手を付けてしまっていたのである。
使い込んだ新聞代は給料で穴埋めしていた
集金をした新聞代を販売店に納めるのは翌月の10日。販売店の給料日は同じく10日。使い込ん新聞代は自身の給料で穴埋めしていたのである。最初の3か月ほどは何とか給料で穴埋めできていたが、それ以降はそうはいかなくなった。ギャンブルで使い込む金額が増えてきたのである。
担当区域の集金人数が約200人。一人当たり約4,000円で計算すると約80万円。最初は10万ほどの使い込みだったため給料から穴埋めできた。しかし、だんだん使い込む金額が増えて給料で穴埋めできなくなった。明石さんは月に50万円ほど給料があったが首が回らなくなった。
[voice icon=”https://plat-go.com/wp-content/uploads/2022/01/ec4609935bb49fc0372da909ff070f9b.png” name=”たろすけ” type=”l”]そして最後には集金をしたお金を持って消息を絶ってしまった。いまもおそらくどこかの新聞販売店で矢部さんは同じことを繰り返しているだろう。[/voice]