BIGMOTORからBALMへ:民事再生法適用で負債831億円、再建への道筋とは
1976年に山口県岩国市で創業した(株)BALM(旧:(株)ビッグモーター)は、自動車修理工場としてスタートした後、中古車販売を主軸に事業を急拡大。全国規模での店舗展開やM&Aを通じて勢力を広げ、2021年には売上高が約4567億円に達しました。しかし、2018年以降、不適切な会計処理や不正行為が相次ぎ、企業としての信頼が大きく揺らぐことに。2024年12月2日、東京都港区に本社を置く同社は東京地裁に民事再生法の適用を申請し、負債総額は約831億円にも上ることが明らかになりました。今回の措置は、過去の不祥事に起因する潜在債務の確定と全額弁済を目指すものです。
1976年創業の(株)BALM(旧:ビッグモーター)は、自動車業界で一時期、驚異的な成長を遂げた企業でした。同社は自動車修理工場からスタートし、中古車販売に進出。さらに車検や板金塗装、損害保険まで幅広く事業を展開することで、2002年には売上高100億円を突破し、その後も順調に事業を拡大しました。積極的な出店とM&A戦略により、2015年には売上高1000億円、2021年には約4567億円と飛躍的な成長を遂げる一方、経営内部での問題が表面化することとなりました。
2018年頃、不適切な会計処理や売上の架空計上が明るみに出たことを皮切りに、同社をめぐる不祥事は次々と発覚しました。2020年以降には、一部工場従業員による過大な修理見積りや不要な修理の実施といった不正行為が問題視され、損害保険会社との間でトラブルが拡大。さらに、調査の過程でヘッドライトカバーの破損を意図的に行うなど、多数の不適切行為が明らかとなり、コンプライアンス意識の欠如が露呈しました。地域住民からは、店舗周辺で植栽が枯れるといった苦情も相次ぎ、企業の信頼は急速に低下しました。
2024年3月、伊藤忠商事(株)がスポンサーとして再建計画を開始。同年5月には、同社が運営する中古車販売事業を(株)WECARSに譲渡し、保険不正請求問題への対応に専念しました。しかし、依然として未確定の潜在債務が残ることから、負債総額約831億円を整理するため、今回の民事再生手続きに踏み切ったといいます。同社は「手元の現預金を保全しながら少額債権者への早期弁済を目指す」としており、被害者救済と事業再建の両立を図っています。